【体験談】初産は前置胎盤(全前置胎盤)だった私の出産

30週5日の産院検査の日、「胎盤が子宮口を塞いでいます。前置胎盤です。ここでは対応できません。」と、当時通っていた個人産科医院の先生に言われました。

“前置胎盤”−−−初めて耳にする言葉だったので、説明を受けても何を言われているのか理解ができませんでした。

その産院からは、市内にある総合病院への紹介状を渡され、翌日には総合病院に行きました。総合病院の先生からも「全前置胎盤です。管理入院をおすすめします」と言われました。至って健康であると自負していたので、この短期間で二度の【前置胎盤宣言】はメンタルがやられそうになりました。前日からずっとインターネットで、“前置胎盤”というキーワードを調べあちこち回遊して、その記事内容を見て恐怖を感じ、心が乱れていたのも原因です。

30週から正産期に入るまで入院生活がスタート。

“案ずるより産むが易し”ですが、初産でこの診断は精神的に辛く、30週(8ヶ月)から正期産(37週~)に差し掛かるまでの道のりはとても長く感じられ、その期間中は不安しかありませんでした。大事をとり早速2~3日後に入院。この時出血の症状などありませんでしたが、出血してから入院するよりは安心です。夫と二人、産後対策をしていた為仕事にも支障が出ず、スムーズに入院できました。夫にはかなりの負担をかけてしまいましたが、入院中のサポートと仕事と家のことをしてくれ助かりました。入院してすぐ、お腹の張りを確かめるモニター検査がありました。お腹は張ったことがなかったのですが、モニターが暇すぎて、あるとき脚のエクササイズをしながらモニターを受けたことがあり、その日から私はウテメリンの点滴をするはめになりました……。
(教訓!モニター中は安静に……。)
この点滴は切迫早産の可能性がある妊婦さんなどに施されますが、出血もなく健康だったのにすることになるなんて……と思っていましたが、早く産まれるとなるとリスクがさらに高まるため、仕方ありませんでした。一度点滴すると出産まで外すことができないため、外すと張りかえしがあるのでつながれたままです。そのため、38週0日まで、点滴と一緒に過ごしました。

MRIで胎盤の位置を確認。その結果は……。

出産に向けて重要な作業が、“MRI”と輸血の為の“自己血貯血”です。MRIも人生初、筒状の狭い空間に入り一人ポツン、そしてヘッドホーンで音楽鑑賞している間に終わります。(なぜか郷ひろみでした苦笑)
※ MRIは入れ墨・タトゥーなどがあると受けられない事があるのでご注意ください。その部分が火傷するようです。

MRIはお腹の赤ちゃんの状態がエコーよりも鮮明で、臓器もしっかり確認できるので、その点ではよかったと思います。胎盤の位置も確認するので、症状に直接的には関係ないのですが、より安心できました。

さて胎盤の位置ですが、子宮口だけを塞いでいるのであればまだよかったのですが、私の場合はお腹側に胎盤がベッタリと貼り付いていました。切開する部分に胎盤があるのです……最悪です。MRIの結果ほどなくして約2週間入院した総合病院から、33週3日の日、遠く離れた大学病院へと転院しました。救急車での搬送です。到着後すぐに、モニター検査と内診検査をしてお腹と子宮口の状態を確認しました。点滴のウテメリンは継続して、自己血貯血する為の採血が週1回400ml×4回が始まりました。内1回はボツです。保存バックの期限切れだったので使えませんでした。ヘモグロビン値が低いと行えませんので貧血気味の方は、日ごろの食事鉄分摂取には気を付けておいた方がいいかと思います。病院からの鉄剤の処方で補ったりもします。夫からは「鉄分足りているのによくキレる……」とつぶやかれましたが(笑)。

帝王切開で出産するため、同意書にサインを。

さてMRIや自己血貯血の準備が整い、帝王切開手術の準備で麻酔科の先生からの説明を受けます。麻酔や輸血・血液製剤のこととか、全身麻酔で気管挿管するので術後咳が出る、喉が痛いといったことなどでした。不安なことしかありませんでした。説明を聞いて同意書にサインをし、手術日までの数日間は淡々と過ごしました。手術前日は、剃毛します。看護師さんに剃っていただくのです。もうこの辺りになると、まるでまな板の鯉のような気分で、恥ずかしいは恥ずかしいのですが、翌日は寝ている間に医師やその他大勢の研修医・看護師にあられのない姿を見られていますので、あまり気にしなくなっていました。

手術前夜から、飲食禁止でした。オペ用の着衣に着替えて、弾性ストッキングをはき、ウテメリンの点滴を外して、車椅子でオペ室へ行く、台に上がり尿道に管を入れられ、全身麻酔の為のラインを取り、主治医がやってきて台の横に立ち、それでは始めますというと、麻酔科の医師が私に『甘い香りがします~』って言った瞬間に私は意識が落ちました。

『○○さ~ん!可愛い赤ちゃんが産まれましたよ~!』

しばらくすると、看護師さんや研修医や麻酔科医の顔が、私の目の前に飛び込んできました。水の中から一気に水面で息を吸うような感じで意識が戻りました。無事出産です。前置胎盤での出産はハイリスクな為、出血が多い又は止まらない場合があり、その場合は子宮を取ることもあるそうです。私の場合は、出血量2080ml・自己血800ml返すのみで済み、丈夫な体に産んでくれた親に感謝でした。2ヶ月の安静期間病院に缶詰だったので、点滴が外れた瞬間から自由になれた喜びで術後の回復は恐るべき早さでした。ハイリスクな出産ですし、危険な場合もあります。出血などあればすぐに緊急オペとなりますし、その時に医師スタッフや輸血の血があることが重要だそうで、病院によっては対応できないこともあります。私の場合は3件目の病院で出産したので、医師スタッフ・NICU等、揃っているところで診てもらうことが重要だと改めて思いました。今現在第2子妊娠中ですが、大学病院の医師がこちら地域の総合病院に来ていたので、診てもらっています。

一度前置胎盤だと、第2子の場合もアンケートの点数でハイリスク認定になるので、大事をとった方がいいと私は思いました。第2子の胎盤の位置は正常です。

お産はひとそれぞれ。全く同じものなんてない。

ネット検索では、“前置胎盤の原因”とかで流産経験・中絶経験・子宮手術経験・経産婦・喫煙習慣・多胎出産・高齢出産などと書かれていましたが、私は36歳で出産なので高齢以外はどれも当てはまっていませんので、って「高齢当てはまっているやん!」と言われそうですが(苦笑)、無事出産をすることができました。本当にお産は十人十色、いろんな形がありますね。

ハイリスク出産となると、原因などを深く考えて意気消沈しがちですが、それに振り回されず、まずはお腹の子を無事に産むことを重要視し、しっかりと診てもらえる病院にいくことが何よりも心の平穏に繋がります。

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